ロボット開発者のための新構成部品シリーズ
「SEED Solutions」を実演
小型・省配線・簡単操作で開発工数を大幅に削減
次世代ロボット用の要素部品を取りそろえるTHKの新たな製品カテゴリー「SEED Solutions」。2015国際ロボット展では、専用ブースを設け最新技術をアピールする。開発したスマートアクチュエーターシステム、汎用グリッパーなどはコンパクトで簡単に取り扱える点が特徴。ブース内にはこうした要素部品を組み合わせたロボットを設置し、実演を披露する。
今回の実演は、人がみせる物体をロボットがカメラで認識し、数メートル先にある同種の物を運んで来るというもの。自律的に移動し物体をつかむロボットの滑らかな動きに注目したい。一連の動作を可能にするのが、SEED Solutionsとして展開する要素部品群だ。例えば腕の可動部などに搭載するコントローラードライバーを備えた、スマートアクチュエーター。回転運動や直線運動によりロボットが腕を伸ばす動きなどを生み出すことができる。
強みは小型かつ扱いやすい点にある。中でも特徴的なのが、電源供給や通信をケーブル1本で実現する省配線システムだ。ケーブルの取り回しはロボットの設計において課題になりやすく、省配線化を求める声は多い。このため、新たなアクチュエーターは問題を解決に導く強力な基幹製品として期待される。「簡単に次世代ロボットのハードウエアを構築できる環境を用意し、ロボット開発者が周辺機器やソフトウエア、サービスの研究に集中できるようにすることが狙い」(永塚正樹 シニアクリエイティブプロデューサー)としている。また、複数のアクチュエーターを同期させる際は、各軸に搭載されているドライバーの一つが親機として全体を制御することが可能だ。別個に制御ボックスを設ける必要がないため、省スペース化にもつながる。
さまざまな大きさや形の物体つかむ
コントローラー一体型ロボットハンド
SEED Solutionsではアクチュエーター単体のほか、さまざまな応用品もラインアップする。その代表格が小型・高出力アクチュエーターとモーターコントローラードライバーを搭載しているロボットハンドの「TRX」。国際ロボット展の実演でも活用する予定だ。最大の特徴が、小型・軽量でありながら外部コントローラーなしで、多種多様なワークに対応できる汎用性。「太いものから細いものまで、あらゆる物体をつかむことができる」(遠藤嘉将クリエイティブ プロデューサー)という。さまざまなワークのピッキングなどを手軽に実現できる汎用グリッパーとして、注目を集めそうだ。
人との共同作業や生活支援などを行う次世代ロボットの開発は、今後さらに加速するとみられる。それに伴い、同社はSEED Solutionsのラインアップを順次拡充させる方針。ニーズが拡大する中、ロボット開発者にどれだけ採用メリットを訴求できるかが見どころとなる。
特別インタビュー
―SEED SolutionsはTHKの新機軸として期待されています。
「小型・軽量で使いやすい次世代ロボット開発向け要素部品のシリーズです。小型分散配置型のモーターコントローラードライバーで最大14軸の多軸システムをケーブル1本で構築し制御する事ができます。扱い易い、リーズナブルな要素部品を供給することで、次世代ロボット産業をサポートしたいと思っています。スマートアクチュエーターは、THKのクロスローラーリングやボールねじなどを採用し、コンパクトながらも高剛性・高出力な製品に仕上げています」
―開発で大変なことは何でしょう。
「例えば工場自動化(FA)の世界では、信頼性が極めて重要な要素になります。ただ、小型化と高信頼性を同時に実現することは容易ではありませんが、試行錯誤しながら開発を進め、採用事例も増えてきています」
―そのほか重視している点はありますか。
「次世代ロボットに期待される機能の一つに自律移動があります。バッテリー駆動で長時間運行を可能にするため、省エネ技術は必須です。いかに少ない電力で大きな力をだすか、我々にとって重要な1テーマになっています」
―現状での実績、今後の展開をお聞かせ下さい。
「2014年に直動タイプの多軸コントローラー機能を搭載したシンプルアクチュエーター『SEED+Picsel』を投入しました。複数台を組み合わせて卓上型の自動塗布機などを簡単に作ることができます。自動車、電気電子、医薬などの分野で採用されつつあります。そして、2016年からはラインアップの拡充を図ります。まず年明けにロボットハンド 『TRX』、その後直動タイプのスマートアクチュエーターをはじめ、さまざまな製品を世に出していきます。幅広い品ぞろえを擁し、次世代ロボット開発を統合的に支援できるシリーズにしたいと思っています」
【企業データ】
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