人と協調する作業ロボットシステムの最先端
ノウハウ結集した総合力に注目
先進的なFAを提案
THKの子会社であるTHKインテックス(東京都練馬区)は、ロボット関連や精密機器など多彩な事業を手がけ、国際ロボット展には2度目の出展となる。今回も“人と協調する作業ロボット”として開発されたカワダロボティクス製のヒト型双腕ロボット『ネクステージ』と周辺機器を組み合わせた、先進的な工場自動化(FA)システムを提案する。ネクステージや開発中のモバイルロボットがセル内を人のように動き回り、ワークを円滑に運搬する仕組み。供給されたワークを組み立てる作業も、別のネクステージが担う。培ってきたシステム構築(SI)のノウハウを結集した次世代システムとして、大いに注目を集めそうだ。
今回のメーン展示物は、ネクステージ2台を用いた自動化セル生産システム。1台は無人搬送車(AGV)に載った可動仕様で、セル内を動きながら組み立てに必要な部品を容器から取り出していく。もう一方は組み立て用で、複数の部品同士を2本の腕で結合させるのが役目となる。
見どころの一つが、開発中のモバイルロボットだ。2台のネクステージの間で、部品を運ぶ役割を担う。指定した経路を自律移動できる台車型のロボットで、ロボットベンチャーのZMP(東京都文京区)とTHKが協力して手がける物流支援ロボット『キャリロ』をベースに開発を進めている。
AGVなどと比べ簡単に扱え、安価に提供できる完成形が目標。2016年度中にも実用化したい考えだ。「キャリロのシステムをFA用にアレンジした製品。磁気テープを床に貼ったりする必要もないため、導入時の工事が削減できる。また、経路設定が簡単にできるなど、求められる機能を加えながら完成に近づけていきたい」(内山勝博装置事業本部ロボット部課長)としている。
広がる可能性をブースで体感可能
自動化セルとは別に、THKインテックスが提供する周辺オプションの紹介用にも、ネクステージを展示する。例えばネクステージに着せるクリーンスーツ。ロボット本体の関節部などから微細なゴミやグリースが周辺に排出されるのを防ぎ、クラス100レベルのクリーンルームで使用できるようにする。また、AGVやTHK製ロボットハンドなども併せて展示し、ネクステージの可能性を最大限に引き出す総合力をアピールする。
このほか、ブース内で人気を博しそうなのが共同作業コーナーだ。来場者は実際にネクステージの性能、操作感などを体感できるという。普及しつつあるものの、まだ多くの企業関係者にとっては身近ではない次世代産業用ロボットのネクステージ。国際ロボット展を機に、ユーザー層が拡大することを期待したい。
特別インタビュー
―2度目の国際ロボット展です。
出展テーマをお聞かせ下さい。
「製造業の現場では素早く簡単に導入でき、低コストで安全なロボットが求められています。当社が出展するヒト型双腕ロボット『ネクステージ』は、こうした世の中の要求に応えられる製品です。培ってきたシステム構築(SI)のノウハウをつぎ込み、ネクステージの良さを実感できるブースにしたいと思っています」
―貴社はネクステージの販売権を持っています。
現状での実績はいかがでしょう。
「2012年頃から本格的に販売を開始しましたが、徐々に認知度が高まってきました。特に2013年度以降は毎年倍増のペースで売り上げが拡大しています。さらに今年は、愛知県にネクステージのショールーム『リソカタ』を開設しました。これにより、中部地方のユーザーを開拓できています。中でも自動車業界に採用され始めたことは追い風です」
―今後の課題は何でしょうか。
「当社はSIを行っていますが、自社で対応しきれない案件もあります。このため、他SI企業との協力が必要です。ただ、多くのSI企業はネクステージを扱った経験を持っていません。今まで以上に協業の輪を広げたいと思っています。我々が得意とする工場自動化(FA)の領域以外でも、倉庫やオフィスなど、さまざまな職場においてネクステージの導入が検討されています。こうした幅広いニーズにいかに対応するかが、目下の課題です。カワダロボティクスと協働して期待に応えていきます」
【企業データ】
日刊工業新聞社 企画部
(オンライン編集チーム)