[ その他 ]
(2016/3/17 05:00)
大企業の2016年春の労使交渉(春闘)が決着した。労働側が求めた月例賃金のベースアップは3年連続で確保したものの、上げ幅は縮小。賃上げによる消費回復を目指した安倍晋三政権としては不満かもしれない▼経団連が「より踏み込んだ回答を」と呼びかけたことを受けて、経営側は要求と真剣に向き合った。しかし足元の景気の減速感の深刻さが妥結額に反映した。経営マインドは、すでに大きく低下している▼これから本格化する中小企業の交渉も多難だ。「ベアに踏み切れば本当にデフレは止まるのか」という経営者の疑問には、明確な答えが出ていない。法人減税の恩恵を受けにくい赤字決算の中小には”官製春闘“は通用しない▼経済政策「アベノミクス」は出直しを迫られよう。夏の参院選を意識しつつ、消費増税の再延期論も高まるだろう。大手企業が新興国に買収される衝撃が重なり、日本が再び”自信喪失モード“に退行することを恐れる▼16日の政府の国際金融経済分析会合では米コロンビア大のスティグリッツ教授が「国民一人一人の生活水準を引き上げることが重要」と強調した。春闘頼みだけでは日本再興は成らない。成長戦略と雇用増の実現に向けた取り組みが必要だ。
(2016/3/17 05:00)