繋がりが拓くモノづくりの近未来-IoT普及がもたらす価値と新たな課題

(2016/6/10 05:00)

    22日から東京ビッグサイトで開かれる「日本ものづくりワールド」(リードエグジビション主催)は、国内外のモノづくり関係者が集う一大イベント。いま、この日本のモノづくり業界の近未来の命運を左右するとも言われるのが、人やモノなどをインターネット技術ですべてつなげ新たな価値を生み出そうとするIoT(モノのインターネット)社会の到来。IT企業やFA(ファクトリーオートメーション)企業、ユーザーとなる製造業などが入り交じってIoTの実用化を急いでおり、会場でも多くの関連技術やサービスが展示される。IoT活用方法に注目が集まるのはもちろんだが、その普及拡大に向け、生じるセキュリティー上の脅威にどう向き合うのかも問われている。

広がるIoT技術の適用範囲

  • 医療機器などでの活用例も増加(写真はイメージ)

  工場設備や社会インフラなどさまざまな分野でIoT活用が進展。政府が策定中の「新産業構造ビジョン」でもIoT活用による「第4次産業革命」が脚光を浴びている。IoTの適用領域は広く、スマートハウス(次世代環境住宅)やコネクテッドカー(つながる車)などの先進例もあれば、建設機械や工作機械、医療機器、大型発電機などの監視・保守面での活用例も多い。

  IoTの仕組みを用いれば、例えば機器の稼働状況を監視して、トラブルの予兆をいち早く検知したり、故障時の原因調査を迅速化したりすることが可能。トンネルや橋、ダムなど土木施設をはじめとする社会インフラの管理にも有効で、施設の異常発生の早期発見や老朽化した施設の予防保全などでIoTが役立っている。

つながりから生じるリスク

  • 社会インフラの管理にも有効

  IoTを活用した大規模な実証実験なども始まっているが、データを収集・分析する仕掛けよりも、より重要なのはネットワーク内を行き来するデータに他ならない。ただ、すべてがつながることで生じるセキュリティー上の脅威が顕在化しているのも事実。IoTの普及拡大に向け、こうした課題にどう向き合うのかも問われている。

センサーなどを通して取得したIoTデータは秘匿性が高く、これを安心・安全に扱う上でセキュリティー対策を怠ってはならない。データの即時処理や機器の安定稼働を保つには、サイバー攻撃など不正アクセスの脅威にも耐え得る高度なセキュリティーも必要だ。

  IoTのセキュリティー対策を検討する情報処理推進機構(IPA)の担当者は「既存の機器の中にはIoT利用を想定して開発されたものだけでなく、ネットワーク接続機能が後付けされたものが数多い」と指摘する。利用者はつながることで生じるさまざまなリスクや脅威が存在することを留意する必要がある。

  とくに、異なる分野の製品は安全基準が異なるため、相互に接続した際に想定外のリスクも生じやすい。例えばスマートフォンと自動車をつなぎスマホから遠隔操作が可能となった場合、スマホの故障が原因で車側にトラブルが発生することが懸念される。逆に車側が外部から不正アクセスされ、スマホの情報が盗まれる恐れもある。

  IPAのソフトウエア高信頼化センターでは、IoT機器や使用環境で想定されるセキュリティー上の脅威に対する事業者の備えが急務と判断し、「つながる世界の開発指針」を5月に策定した。日本発の世界標準としての普及を目指している。

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(2016/6/10 05:00)

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