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[ 環境・エネルギー ]
(2016/12/8 05:00)
川崎重工業は2020年度に豪州で計画する水素製造事業について、現地政府と合意した。未利用資源の褐炭から水素を製造し専用船で日本に運ぶ事業で、日豪を合わせた事業総額は数百億円となる見通し。まず連邦政府とビクトリア州政府が基本設計費用の一部として計300万豪ドル(約2億5000万円)を拠出する。豪州産の水素を日本で利用するサプライチェーン構築が実現へと動き出す。
水素サプライチェーン構築は世界初の試み。20年度に始める技術実証はガス化した褐炭から水素を取り出すガス精製、港までの陸送、水素の液化、液化水素を船舶に積み込む荷役などを計画する。
川重は各要素をつなぎ合わせた全体システムとして、実証に向けた事業化調査(FS)や基本設計を実施する。設計結果を踏まえ、設備規模などの詳細を詰める。豪州側には水素製造や輸送による雇用創出、褐炭の有効利用などのメリットがある。
褐炭は乾燥すると自然発火しやすく、輸送が困難で、現地の発電にしか使われていない。このため安価に入手でき、権益取得も容易とされている。豪州の褐炭埋蔵量は約400億トンにのぼる。
川重は日本で新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の採択を受け、水素の製造・輸送・貯蔵・利用の実証など水素関連で複数事業を展開。岩谷産業、Jパワー、シェルジャパン(東京都千代田区)と技術研究組合を設立したほか、液化水素を海上輸送する水素運搬船、水素専焼ガスタービンなどの開発も進めている。
(2016/12/8 05:00)