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[ エレクトロニクス ]
(2017/2/7 05:00)
ソニーと東京大学は1000分の1秒単位で撮影しながら画像処理する高速撮像演算チップを開発した。1秒当たりの演算回数は1400億回。撮像素子と演算素子を積層して1枚のチップにした。画像処理用の計算機が不要で、携帯端末や移動体に搭載できる。自動運転では高速認識、飛行ロボット(ドローン)では衝突回避や高速追従などに応用が可能。移動中の安全性を向上させる高速視覚処理が飛躍的に高まる。
米サンフランシスコで開かれている国際固体素子回路会議(ISSCC)で7日に発表する。東大の石川正俊教授らの高速画像処理技術を、ソニーがワンチップ化した。
撮像部は127万画素で、演算部の最大動作周波数は108メガヘルツ(メガは100万)。例えば撮影した画像の中から対向車などの認識したい対象を切り出し、対象の動きや変形に応じて信号を出すまでを、1枚のチップで完結できる。毎秒500枚の場合は127万画素の画像で、同1000枚であれば31万画素の画像で処理する。
消費電力は363ミリワットと低い。画像処理用の計算機を別に用意する場合に比べて2ケタ近い省エネルギー。スマートフォンやドローンなど電池が制約になっている機器に向く。
工場のFA分野では検査ラインの横に計算機を置くなどして対応してきたが、開発したチップを使えば検査カメラがその機能を担える。部品を扱うハンドに搭載すれば、視覚的に部品をつかむ位置を修正できる。位置決めやティーチングを大幅に簡略化できる。
チップで画像処理が完結するため、自動運転で車両の周囲にチップを配して、すべての方向を監視するなど、同時に複数の高速処理を走らせやすくなる。高速で動く相手のわずかな変化も捉えられる。
(2017/2/7 05:00)