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[ エレクトロニクス ]
(2017/4/21 05:00)
東芝の半導体子会社「東芝メモリ」の売却先を決める入札に停滞感が漂ってきた。同事業で提携する米ウエスタンデジタル(WD)は売却を契約違反と主張するが、現時点では東芝から入札企業側に対する明確な説明はなく、関係者からは「WD問題が深刻化する可能性も意識している。次のアクションが取れない」と不満の声も出る。東芝は6月下旬に開催予定の定時株主総会までに売却先を決めたい考えだが、間に合わない懸念が出てきた。(後藤信之、政年佐貴恵)
WDは東芝メモリの売却を契約違反とし、東芝に独占交渉権を要求している。東芝はこの主張に対し、WDとのメモリービジネスとの契約は複雑で単純明快な結論を出すのは難しいという認識だ。同社関係者らは「WDとは見解の相違だ」との立場を崩さない。
東芝は5月から2次入札の手続きを本格化し、19日に入札を締め切る計画だが、後ろ倒しになる可能性が出てきた。仮にそうなると6月下旬の株主総会までに売却先を決め、各国の独占禁止法などの審査を経て、2018年3月期末までに売却手続きを完了するというシナリオも崩れかねない。
東芝は17年3月期に6200億円の債務超過に陥る見込み。東芝メモリの18年3月期末までの売却に失敗し、資金調達できず2年連続の債務超過となれば上場廃止になる。
東芝は近くWDの主張への反論を書面で提出する見通し。落としどころを見つけられなければ、東芝の再建計画は根本から揺らぐことになる。
【革新機構の東芝メモリ出資検討−日商会頭、議論まだない】
日本商工会議所の三村明夫会頭は20日の定例会見で、東芝が売却を目指す半導体メモリー事業に産業革新機構が出資を検討しているとの報道について「ボードメンバーの立場でこのこと(東芝メモリへの出資)を議論したことはまだ一度もない」と語った。三村氏は機構の支援対象や内容について意思決定する社内機関のナンバーツーを務めている。
また、産業革新機構の志賀俊之会長が出資検討表明と受け取れる発言をしていることについて「現在、何が行われているかボードの一員として機構の方から今週も先週も何も聞いていない」とした。その上で、志賀氏の発言の真意についてあらゆる可能性を視野に「頭の体操はいつでもしていると言ったにすぎない」と推察した。
【東芝不適切会計−株主が損害賠償請求】
東芝は20日、不適切会計問題により損害を受けたとして国内法人株主2組(計4社)から計約182億円の損害賠償請求訴訟が東京地方裁判所に提起されたと発表した。日本マスタートラスト信託銀行、日本トラスティ・サービス信託銀行、資産管理サービス信託銀行で構成するグループが51億1608万円、日本マスタートラストと日本トラスティ・サービスのほか野村信託銀行からなるグループが131億3306万円を求めた。
これまで東芝の不適切会計問題に関する損害賠償請求訴訟が国内で計18件提起され、訴額は計約320億円となっていた。
(2017/4/21 05:00)
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