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[ 化学・金属・繊維 ]
(2017/5/11 05:00)
車軽量化に対応
神戸製鋼所は10日、アルミニウム圧延大手の米ノベリスと提携し、韓国でアルミ板の母材を生産すると発表した。環境規制の強化で車体の軽量化が加速し、日本やアジアで車用アルミパネル材の需要が増すことに対応する。神鋼はノベリスの韓国法人が分社化する工場に3億1500万ドル(約350億円)を出資。同工場で生産する母材の半分(最大年約15万トン)を引き取り、中国の天津工場や日本の真岡製造所(栃木県真岡市)に供給する。
韓国でのアルミ板の母材生産はノベリスが同国ウルサン市の工場を分社化し、9月に新会社「ウルサンアルミニウム」を設立する。新会社に神鋼が出資。ウルサン工場の母材生産能力は年約30万トンで、神鋼の引き取り量は最大同15万トンとなる。
10日会見した金子明副社長は「真岡でも母材生産能力を段階的に強化し、将来はウルサンからの引き取り分を含めて年50万トン規模に高めたい」と語った。
また、神鋼は真岡製造所にも約200億円を投じてアルミパネル材の専用ラインを新設する。2020年1月の稼働を目指し、17年度中に着工する。
生産能力は年10万トン。アルミパネル材の専用ラインは16年1月に稼働した天津工場に次いで2ライン目になり、天津との合計の生産能力は同20万トンに拡大する。
現在、神鋼は母材を真岡製造所のみで生産し、生産能力は年約32万トン。ただ、飲料缶や車向けの国内需要が堅調な上に天津工場が稼働し、母材の確保が課題だった。
【解説/日本好調、中国の母材確保】
神戸製鋼所は当初、中国・天津工場で必要な母材の全量を真岡製造所から供給する計画だった。しかし、日本国内のアルミ需要が好調なため母材の生産は逼迫(ひっぱく)しており、方針を転換。天津工場の母材確保を最優先課題とし、外部調達や母材メーカーの買収、出資などあらゆる手段を検討してきた。
韓国での母材生産について、米ノベリスとの交渉が本格化したのは2016年11月。ノベリス側もウルサン工場の操業度を高めたい意向があり、両社の思惑が一致。短期間での交渉決着となった。「外部調達ではなく、当社の出資する工場からの母材供給となり、品質面、信頼性で大きな強みとなる」と金子明副社長は強調する。
天津の母材確保にめどがつき、次の課題は北米だ。神鋼は米国でも車用アルミパネル材の新工場建設を検討しているが、母材確保の見通しは立たない。韓国からの母材供給は中国と日本向けで、北米は別途検討することになる。アルミ需要は世界的に伸びており、加工前の母材確保に向けて難しい交渉を迫られそうだ。(斉藤陽一)
(2017/5/11 05:00)
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