[ オピニオン ]
(2017/8/11 05:00)
「数十年に1度」と表現される局地的な豪雨の発生件数が増えている。地球温暖化との関連性も指摘されており、温室効果ガスの削減にしっかり取り組みたい。
7月から8月にかけて集中豪雨が日本列島を直撃している。「九州北部豪雨」は各地で河川の氾濫や土砂崩れが起き、30人以上が亡くなった。このほか島根、愛知、岐阜、秋田、神奈川の各県などで記録的な大雨となり、「数十年に1度」どころか「1年に数度」と集中豪雨が頻発している。
気象庁は地域気象観測システム(アメダス)による短時間強雨の発生回数を公表している。1976年から2016年までの期間で、1時間降水量が50ミリメートル以上80ミリメートル未満(非常に激しい雨)と80ミリメートル以上(猛烈な雨)の年間発生回数は、いずれも統計的に有意に増えていると分析した。
この結果について、気象庁は「地球温暖化の影響の可能性はある」としながら、「アメダスの観測期間は約40年と短く、温暖化との関連をより確実に評価するためには今後のデータの蓄積が必要」と慎重に表現する。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次評価報告書も、大雨の頻度、強度、降水量の増加に関して「減少している陸域より増加している陸域の方が多い可能性が高い」と指摘。近年の局地的豪雨の多発の背景には地球温暖化が関与している可能性を否定しない。
対策として、温室効果ガスの排出を低減して温暖化を抑える「緩和」はもちろん、気候変動に対して強靱(きょうじん)なインフラをつくる「適応」も急がなければならない。
適応は官の役割に負うところが大きいが、民もできる限りの対策を取りたい。一方の緩和は温室効果ガスを排出する企業や家庭の役割だ。「2050年には温室効果ガスの排出ゼロを目指す」と宣言したリコーのような企業も出てきた。
いち早く地球温暖化対策を講じた企業が勝ち組になる可能性が高い、と考えて対応する必要があるだろう。
(2017/8/11 05:00)