[ オピニオン ]
(2018/3/16 05:00)
官民一体となって世界の旺盛なインフラ需要を取り込み、日本の経済成長につなげることが重要だ。
政府はインフラに関わる独立行政法人や一部の公的企業に海外業務規定を追加する新法を通常国会に提出した。日本の民間事業者の海外展開を、政府レベルで後押しするのが狙いだ。
発展途上国や新興国を中心に、インフラ需要が拡大基調にある。アジア開発銀行は、アジアでは2016―30年の15年間で約26兆ドル(年平均約1兆7000億ドル)のインフラが必要と推計している。
ただ、こうした事業には各国政府の意向が強く反映され、政治や法的な制約も大きい。日本の民間事業者が自らそうした制約を把握・調整するのは困難なのが実情だ。
一方、日本では交通網をはじめ、インフラ整備に関する技術やノウハウの多くを独法などの公的機関が保有している。例えばダムの整備は、水資源機構が国策として推進してきた歴史がある。企画段階での建設地や規模などの選定は、建設会社単独では難しい。
政府はこうした状況を考慮し、インフラ整備に携わる独法や公企業に対し、海外で調査・設計・入札支援などの業務を可能にする仕組みを導入することにした。対象は鉄道建設・運輸施設整備支援機構、水資源機構、都市再生機構などの独法や成田国際空港会社、各高速道路会社などだ。
これら各組織の本来業務は日本国内のインフラ整備・運営であり、海外事業への関与はあいまいな位置づけだった。法的に明確化することで海外業務向けの人員・組織整備を急ぎ、官民連携して日本勢の海外受注拡大を狙う。
政府は20年に30兆円規模の海外インフラ受注を目標に掲げている。国土交通省は「民間企業の足りない部分を補っていく」としており、新法成立後3カ月以内の施行を目指す。
国会情勢は混迷を深めているが、与野党ともこうした有為な新法をきちんと成立させてもらいたい。
(2018/3/16 05:00)