[ オピニオン ]
(2018/9/3 05:00)
9月にブラジルで開かれる国際捕鯨委員会(IWC)の総会で、日本は商業捕鯨再開に道を開く改革案の合意を目指す。IWCが1982年に商業捕鯨モラトリアムを決定し、クジラの資源保護を目的に商業捕鯨が禁止された。日本は2014年に沿岸でのミンククジラの捕獲枠を提案したが、反捕鯨国の反対で否決された。IWCではクジラと捕鯨に対する根本的な意見の違いから持続的利用支持国と反捕鯨国が対立し、資源管理の意思決定ができない機能不全に陥っているという。
IWC総会で日本は機能回復のため、意思決定の手続きの変更と商業捕鯨モラトリアムの限定的解除の内容を一括提案し、評決を伴わない「コンセンサス合意」を目指すとしている。これは互いの立場を尊重し、明確な反対意見がなければ評決なしで合意とする方式だ。
事実上、加盟国の中で反捕鯨国の数が利用支持国を上回っており、単純な評決では過去と同じ轍(てつ)を踏みかねない。そこで、機能不全状態のIWCの危機感を反捕鯨国にも共有してもらうことによって、資源管理に向けた改革案への賛同を促していく。
商業捕鯨再開についても、商業捕鯨モラトリアムを維持したまま、例外としての付表の追加を提案する。ミンククジラなど資源が豊富な鯨種に限定して商業捕鯨の枠を設定することを求める。
しかし、この改革案が思惑通りに合意できるかどうかは不透明だ。反捕鯨国の壁は厚く、高い。
それでは合意できなかった場合、日本はどうするのか。IWCを脱退するという主張もあるだろうが、先進国の一員として“だだっ子”のような対応が適当には感じられない。
飛躍し過ぎるかもしれないが、クジラの養殖の可能性を探ってはどうだろうか。巨大なクジラの養殖などバカバカしいように思われる。しかし、ブタやウシくらいのサイズへと改良はできないだろうか。日本の技術力で新たな道を切り開いてほしい。
(2018/9/3 05:00)