[ オピニオン ]
(2018/9/17 05:00)
企業の設備投資が好調な推移を見せている。人手不足対応が一つの大きな要因となってきている。少子高齢化社会の進展に伴い人手不足が一段と深刻になるなかで、今後企業の人手不足対応が設備投資の伸びに大きな影響を与えていきそうだ。
日本政策投資銀行がまとめた資本金10億円以上の大企業の設備投資計画調査によると、2018年度は前年度比21・6%増となった。この水準が実現すると、1980年度(前年度比23・5%増)以来、38年ぶりの高水準となる。計画は年度末にかけて下方修正されていくという統計のクセを考慮しても、最終的に90年度(同14・9%増)並みの水準となる可能性もある。
企業の潤沢なキャッシュフローのもとで、前向きな投資が目立った。製造業では、次世代技術開発を急ぐなど自動車などの投資意欲が強く、非製造業では物流や小売りなどの省力化投資が活発化している。
ここで注目したいのは、人手不足に対する対応だ。政投銀による設備投資計画調査によると、18年度計画の投資動機について、製造業では「能力増強」のウエートが電子部品などを中心に2年連続で上昇するほか、「合理化・省力化」のウエートも上昇する。
政投銀は、投資動機の分類方法もまとめている。企業が人手不足対応で投資を行う場合、「能力増強」が40数%でトップ。以下、「全て合理化・省力化投資」が30数%、「維持・補修」が20数%で続く。投資動機として、「合理化・省力化」だけでなく、「能力増強」や「維持・補修」として回答するケースもある。同行の宮永径経済調査部長は「人手不足対応が他の項目に混じっている。今後も伸びてまだまだ広がっていく余地がある」としている。
同行調査では、非製造業の約6割が「足元の人手不足が事業展開の制約になっている」と回答し、3年後は比率は約7割を超え、その状況がさらに悪化する見込みだ。少子高齢化で生産年齢人口がさらに縮小する。人手不足への投資が成長戦略の課題となるのは間違いない。
(2018/9/17 05:00)