[ オピニオン ]
(2018/9/24 05:00)
電力事業者だけでなく、企業や自治体レベルでも対策を見直したい。
6日未明に発生した最大震度7の北海道胆振東部地震による停電被害は、まだ不安要因はあるものの、おおよそ収束した。復旧につとめた北海道電力をはじめ関係者の努力と、節電に協力した道内の住民・企業に敬意を表する。
東日本震災直後のような計画停電は避けられたとはいえ、北海道全域で国内では例のない長時間停電(ブラックアウト)が起きてしまった。地震発生後の対応が適切だったかを精査し、再発防止策を講じてほしい。
経済産業省は、全国の電力需給の司令塔である電力広域的運営推進機関に指示し、第三者委員会による検証に着手した。10月中旬の報告書まで、内容を詮索することは控えたい。しかしながら北海道電力が、道内最大の発電所である泊原子力発電所の再稼働ができないまま、二番手である苫東厚真発電所に過度に依存しなければならなかった事情は考慮すべきだ。
2本柱の一方を止められ、残る一方の近くで大地震が起きたことは不運としかいいようがない。道内では今も老朽発電所をメンテナンスしながら、泊原発停止の不足分を補う綱渡りの運用が続いている。今後、再生可能エネルギーの活用を含めて、より強靱な電力システムを構築する必要がある。
安全性の確認を怠って原発を再稼働することは許されない。ただ、異常なブラックアウトで外部電源を喪失した泊原発が、使用済み燃料棒の冷却に支障を来さなかった事実は心強い。
北海道のブラックアウトは特殊なケースだと分析する専門家が多い。しかし、国内のどの地域でも想定外の災害で広域停電が長引くケースはあるだろう。停電の中でも営業を継続できた企業の例を参考に、自社の事業継続計画を見直してほしい。
例えば、自動車のエンジンから最低限の照明と通信機用の電気を取り出す機材を備えるだけでも十分に効果がある。ブラックアウトは大規模災害の2次災害だ。備えを強固にしたい。
(2018/9/24 05:00)