[ オピニオン ]
(2019/5/24 05:00)
団塊世代が70歳に達し、70歳以上が人口の2割を超えた。自宅で元気に暮らすのが一番だが、介護施設の世話になる人も増えるだろう。厚生労働省の2025年の介護人材の需給推計は需要253万人に対し、介護供給見込みは215万人。約38万人のギャップが生じる。
これを埋めるために、同省は経済産業省と介護ロボットの導入支援を実施している。対象ロボットの種類は移乗、移動、排泄(はいせつ)、見守り、入浴、介護業務の6分野13種類。ロボット活用により、利用者の自立支援や介護者の負担軽減が狙いだ。
機械振興協会経済研究所は、介護施設のロボット導入と現場ニーズに関し全国の施設にアンケートを実施。それによると、移乗支援機器を導入している施設は装着型、非装着型とも約8%で、うち「有効活用している」は装着型が2・8%、非装着型では6・2%、残りは「有効活用していない」だった。移動支援機器導入はさらに少ない。
その中で見守り支援機器は有効活用が22・3%あった。入浴支援機器も有効活用が13・7%と比較的多い。今後、導入したい機器としては移乗支援やコミュニケーションロボットなど生活支援や入浴支援、排泄支援などのロボットが多い。
また、介護業務に伴う情報を収集蓄積し、それを高齢者の支援に活用する機器の導入を検討したいが、61・1%と多かった。これは施設内の情報システムで、ロボット技術を用いた介護業務に伴う情報を収集蓄積し支援に活用するもの。介護人の無駄な動きがなくなるため、期待が大きいようだ。
同研究所の北嶋守次長は「理想的な介護ロボットを聞くと、施設側は『操作、使用、保守が簡単なもの』というのが多かった。介護ロボット普及には施設とメーカーのコミュニケーションが重要」と強調する。
ロボットは仕事に追われる介護人と被介護者の触れ合う時間をつくる道具の位置付けが大切だ。介護者の離職率を減らすためにもロボットメーカーには現場にあった性能のものを安価に提供できるかが問われている。
(2019/5/24 05:00)