[ オピニオン ]
(2019/6/25 05:00)
航空機産業を振興する「関西航空機産業プラットフォームNEXT」が動きだした。近畿経済産業局、関西経済連合会、新産業創造研究機構(NIRO)が三位一体となり、中堅・中小企業の新規参入や事業拡大を後押しする。令和の新しい時代を迎える中、関西に新たな産業集積を生み出したい。
関西には川崎重工業や三菱重工業、神戸製鋼所、島津製作所、住友精密工業、新明和工業など、航空機のエンジン、機体、装備品、素材を手がける大手企業が拠点を構える。
経済産業省の工業統計調査によると、近畿地域における航空機製造業の出荷額は約1740億円(2016年時点)。都道府県別シェアで兵庫県は全国4位だ。産業基盤になるポテンシャルは十分にある。
ただ、航空機部品事業は初期投資が大きく、認証取得の難易度が高い。長期供給の責任が求められ、海外とのコミュニケーション能力も必要だ。一方で米ボーイングと欧エアバスの競争激化に伴い、サプライヤーに対するコスト低減要求が強まっている。
増産要請に応えつつ、生産性を高めるにはサプライチェーン全体の取り組みが重要だ。
川重は、上村航機(兵庫県加古川市)を統括会社として、近隣の機械加工業者や金型業者など7社で構成する「航友会」をすでに発足しており、品質確保とコスト競争力の強化を図っている。
こうした中核となる中堅サプライヤーをいかに育てられるかが焦点になろう。大学や公設試験研究機関、産業支援機関など地域の力も最大限に活用したい。近畿経済産業局の森清局長は「航空機産業の参入ハードルは高いが関西の力でクリアしたい」と話す。
世界の民間航空機市場は、年率約5%のペースで増加しており、今後20年間で5兆―6兆ドル程度に膨らむ見通しだ。大きな枠組みになった「関西航空機産業プラットフォームNEXT」を最大限に活用し、世界に通用する真に力のある産業クラスターを形成したい。
(2019/6/25 05:00)