(2022/10/13 05:00)
5年に1度開かれる中国共産党全国代表大会(第20回)が16日に開幕する。2期10年を務めた習近平総書記(国家主席)が異例の3期目に入り、党中央への権力集中と習氏のさらなる長期政権に向けた道筋が示されるかが焦点になる。国内経済の停滞、米国との覇権争いと内憂外患に直面する習体制がどのような政策方針を表明するのか、世界経済と世界の安全保障に直結するだけに注視したい。
習氏は自身の権威をいかに高めるかに腐心している。今回の党大会のキーワードは「七上八下」「領袖(りょうしゅう)」「党主席」などで、習氏の権威向上と長期政権に関するものが並ぶ。習氏は2018年に国家主席の任期を撤廃し、今党大会では67歳以下は留任、68歳以上は離任を意味する「七上八下」の内規を変更し、69歳の習氏の3期目入りが確実視されている。
建国の父と呼ばれる毛沢東に習氏が並ぶ地位に就くかも注目だ。「偉大な領袖」と形容された毛沢東以外、領袖と呼ばれた指導者はいない。習氏が「人民の領袖」となれば、改革開放の鄧小平の地位を超える。82年に廃止された「党主席」復活も指摘され、実現すれば習氏の支配体制がより鮮明になる。現在、党のトップは総書記、国のトップは国家主席で、習氏は中央軍事委員会主席とともに三つの主席に就く可能性がある。
習氏がいつまで長期政権を続ける方針なのかも今党大会で見極めたい。習体制の2期目は最高指導部の政治局常務委員に若手を登用しなかった。今党大会で50代不在なら、習氏は4期目以降も視野に入れている可能性がある。行方に注目したい。
自由や民主に理解があった胡錦濤前政権に対し、個人支配を強めた習氏は党内の強い求心力を維持できるのか、最高指導部人事も見極める必要がある。
格差是正「共同富裕」はIT企業や不動産業を締め付け、ゼロコロナ政策に国民の不満は募る。米国との覇権争いの一方で、中国が世界経済をけん引する力は弱くなった。習新体制は権威だけでは内憂外患が容易に癒えないことを肝に銘じたい。
(2022/10/13 05:00)