(2023/4/21 05:00)
主要7カ国(G7)農相会合が22、23の両日、宮崎市で開かれる。コロナ禍やウクライナ情勢で脅かされた食料安全保障を議題とし、農業生産性の向上や途上国支援などを話し合う。G7には米国などの食料輸出国が含まれ、これまで日本や欧州の農業生産の拡大は議題になりにくかった。だが供給網への懸念や価格急騰などのリスクに対する安全保障の確保は世界的な課題となった。G7は協調して持続可能な農業のあり方を探り、成果を世界に発信してほしい。
ロシアのウクライナ侵攻により、穀物などの食料は高騰し、安定供給も脅かされている。他方、世界人口の増加により、農業生産性の向上と同時に、生産拡大に伴う環境負荷の低減も両立することが求められている。
G7会合では各国が生産性向上などの取り組みを紹介した上で、G7として世界に何ができるのか、注力する分野は何かを議論し、持続可能な農業実現に向けた行動計画「農業の持続可能性に関する宮崎アクション(仮称)」を打ち出す。日本は行動計画に基づき、低水準の食料自給率の向上につなげたい。
2021年度の「食料・農業・農村白書」によると、日本の食料自給率はカロリーベースで37%(20年度)にとどまる。安定調達に懸念が残るほか、食料の高騰は企業・家計の台所事情を直撃する。国連食糧農業機関(FAO)によると、22年の世界の食料価格指数は平均143・7と過去最高だった。22年3月をピークに徐々に低下しているものの、高原状態にある。
白書では農業の担い手の育成・確保、農地の集積・集約による国内生産基盤の強化、国内飼料の増産・利用拡大の必要性を訴えている。効率的な農業経営を実現することが求められる。
G7会合では南半球を中心とする新興・途上国「グローバルサウス」も食料自給率を引き上げる必要があると判断し、支援を表明する予定だ。途上国の農業者と先進国の食品メーカーを仲介する枠組みを整え、生産拡大と販路拡大を促す。食料安全保障を通じて、民主主義陣営の拡大につながると期待したい。
(2023/4/21 05:00)
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