社説/24年度「最低賃金」 高水準に期待も経営実態反映を

(2024/4/22 05:00)

2024年度の「最低賃金」の行方に期待したい。最低賃金は、好調に推移している24年春季労使交渉(春闘)結果も参考にする。主要国で見劣りする最低賃金を引き上げ、賃上げが物価上昇に追い付く環境を早期に整えたい。一方、中小企業の支払い能力にも配慮し、「金額ありき」でない議論が政府および各都道府県の審議会に求められる。中小企業も生産性向上などの自助努力を怠らず、持続的な賃上げを実現してほしい。

最低賃金は、中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)が夏に「目安」の額を示し、各都道府県の審議会が決める。23年度の全国加重平均は、前年度比43円増の時給1004円で、初めて1000円を突破した。24年度も高水準の額が期待される。連合がまとめた24年春闘の第4回集計結果によると、組合員300人未満の中小労組の賃上げ率は4・75%と、比較可能な13年以降で最も高かった。

連合は16日、最低賃金の要請書を厚労省に提出し、高水準の賃上げを求めた。日本の平均給与は、経済協力開発機構(OECD)に加盟する38カ国中25位(22年)にとどまる。国際的に見劣りする賃金の底上げと、地域間格差の是正が求められる。

日本は最低賃金の影響を受けやすい非正規労働者が雇用の4割を占め、外国人労働者にも適用される。非正規雇用の処遇改善と同時に、外国人に選ばれる日本にする上でも最低賃金の引き上げを進める必要がある。

他方、最低賃金の審議では、中小企業の支払い能力にも目配りしてもらいたい。日本商工会議所や全国商工連合会など中小4団体は18日、最低賃金に関する政府への要望を発表し、中小企業の経営や地域経済の実態を踏まえた審議を求めた。最低賃金は赤字企業にも適用されるだけに、「金額ありき」ではない丁寧な審議を重ねてほしい。

政府は30年半ばまでに最低賃金を時給1500円とする目標を掲げる。中小企業は政府の支援も受けつつ、生産性向上や新たな価値創造に取り組み、持続的な賃上げが可能な収益基盤に強化することが求められる。

(2024/4/22 05:00)

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