[ その他 ]
(2015/12/2 05:00)
“ポスト京都議定書”を決める気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)は、異例の首脳級会合でスタートした。外務省気候変動課長の中野潤也さんは「合意のためのモーメンタリスイッチ(押しボタン)」と解説する▼国際社会には2009年のCOP15での苦い経験がある。途上国と先進国が対立する中、最終盤の首脳級会合でオバマ米大統領が直接交渉を買って出た。しかし途上国の首脳らは言質をとられまいと交渉を拒み、合意に失敗した▼会合の順を変えたのは、同じ轍(てつ)を踏むまいというホスト国フランスの意思だ。安倍晋三首相はじめパリに集まったトップは、それぞれの交渉担当官の背中を押して合意機運を盛り上げた▼今回、難航必至なのは国際社会から支援を受ける国の線引き。玉虫色のまま合意を先行したい日米などと、確約を求める途上国がにらみ合う。WWFジャパンの山岸尚之さんは「(支援対象が)どこの国か、そこはかとなく暗示する合意文書作りで日本が貢献しては」と訴える▼安倍首相は途上国支援を年間1兆3000億円に積み増すと表明したが、それが機能するのも『パリ合意』ができてこそ。温暖化対策のスイッチが、しっかり入ったかどうか見届けたい。
(2015/12/2 05:00)