[ その他 ]
(2015/12/7 05:00)
日本画の大家で知られる東山魁夷。代表作のひとつ『年暮る』(山種美術館蔵)は、しんしんと雪降る大みそかの京都の情景を描いたもの。師走入りした街は年の瀬ムードが広がり始め、この1年を回顧する時を迎えた▼毎年の世相を漢字1字で表す「今年の漢字」の発表が迫ってきた。昨年は消費増税の『税』。では今年の候補といえば、思い浮かぶのが『爆』。中国人観光客による爆買いは、すっかりおなじみの光景となった。鹿児島県口永良部島で爆発的噴火があったことも記憶に新しい▼『輝』く1年でもあった。明治日本の産業革命遺産が世界遺産登録され、ノーベル医学生理学賞、物理学賞のダブル受賞も。そして日本中を驚かせたのがラグビー日本代表の歴史的快挙。桜のエンブレムが輝きを放った▼政治的観点で最もふさわしいのが『開』。環太平洋連携協定(TPP)で日本を開き、賛否両論が吹き荒れた安保法案は、新しい安全保障の道を開くと政府は説いた▼魁夷は『年暮る』への思いをこう述べている。「去りゆく年への心残りと、来る年に対するささやかな期待」。今年の漢字の発表は15日。京都・清水寺で漢字を通じて去る年が惜しまれるとともに、来る年への期待が示される。
(2015/12/7 05:00)