[ その他 ]
(2016/1/29 05:00)
世界的にM&A(合併・買収)が急増している。調査会社の米トムソン・ロイターによると、2015年のM&A総額は前年比4割増の4兆7000億ドル(約550兆円)。リーマン・ショック前の07年の水準を超え、過去最高を更新した▼買収額が1兆円を超える超大型案件も目立つ。米ファイザーによる同業への買収額は約19兆円に上る。米欧の大企業は買収を通じて高成長を続けてきた歴史があり、その大胆な決断には舌を巻くしかない▼近年は日本の電機メーカーも攻勢を強めている。15年は日立製作所やパナソニック、三菱電機が大型買収に踏み切った。1兆円とはいかないものの、1000億円規模の案件は当たり前になってきた▼各社がM&Aを成長戦略の有力な手段に考えているのは間違いない。トップが収益力やキャッシュフローに言及するのは、買収資金確保を強く意識しているからだ。今後、米欧勢と競り合う日本企業が出てくることを期待したい▼一方でM&Aには人材面で課題もある。欧州企業を買収した電機メーカー幹部は「ラテン系の人種は発想が情熱的。理性的な日本人と融和させるのは難しい」と打ち明ける。気質や思想の違いを理解し合い、どう協調するかが問われる。
(2016/1/29 05:00)