[ オピニオン ]
(2016/7/27 05:00)
商売繁盛のカギとなるのは、実は“客を選ぶ”こと。高級品店だけの話ではない。むしろ安さを追求する店こそ、お得意さんを囲い込まなければいけない。
居酒屋ならぬ立ち飲み屋に、こんな実例がある。3人グループの客が来店して数種類のつまみを頼むと、店員が「いまの注文はすべて2人前にしますよ。いいですね」。5、6人とおぼしき客がドアを開けたとたん「いっぱいです。入れません」。
何を頼もうが何人で来ようが客の自由のはず。なぜ店側は横暴とも思える態度をとるのか。それは客1人当たりの支払額を抑える代わりに、床面積当たりの客数を多くし入れ替わり速度を高めるというビジネスモデルのためだ。
そもそもグループ客はスペースをとる。コミュニケーションが目的なので、往々にして会話に夢中。ろくに追加注文せずに長居する。立ち飲み屋にとっては“歓迎せざる客”の条件がそろう。
次々と来る一人客がさっと飲んで去るからこそ、低価格を維持できる。言い換えると団体客を排除するから、酒好きが安く飲める場が生まれる。限りある経営資源を有効利用することは店の死活問題につながる。それを再確認するためにも、同僚に内緒で今夜も縄のれんをくぐろう。
(2016/7/27 05:00)