[ オピニオン ]
(2016/9/5 05:00)
今年の8月、西日本は暑かった。最高気温35度Cを超す猛暑日は8月だけで大阪が23日間、広島は16日間に及んだ。相次いで関東以北を襲った台風の影響で月末には涼しい日が続いたものの、9月に入って残暑がぶりかえした。
旧知の経営者に鯛(たい)釣りに誘われた。暗いうちから車を走らせ、山口県の上関港から釣り船が出たのは午前6時。小一時間海上を走り、船頭とっておきのポイントで大物を狙う。
えさのエビはピチピチと跳ねるほど新鮮で、人が食べても美味という。それを惜しまずまき餌にし、紛らわせるようにエビをつけた針を舷側から手で垂らす。近くの島からは、セミの声がひっきりなしに聞こえる。
同乗の手慣れた釣り人は大漁で、まさに入れ食い状態。当方も奮闘したものの、手先に伝わる微妙なアタリの感覚が読み切れない。釣果はイサキとカワハギ1匹ずつに終わった。
江戸時代には北前船や朝鮮通信使が立ち寄る重要な港だった上関。海峡をはさんだ室津の町との間にかかる上関大橋の美しい景色を見ていると、しばし暑さを忘れる。大鯛釣りのシーズンは短く、9月も終わりになるとどこかに回遊してしまい、釣れなくなるという。海の上でも季節は着実に秋に移っている。
(2016/9/5 05:00)