[ 機械 ]
(2016/11/18 05:00)
台湾貿易センター(TAITRA)は17日、第28回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2016)に併せて台湾工作機械の記者発表会を東京・有明の東京ビッグサイトで開いた。台湾を代表する程泰集団(グッドウェイ・マシンツール)、東台精機(トンタイ)、高聖精密(コセン・メカトロニクス)の3社の責任者が、性能や価格、顧客対応などの点でそれぞれの工作機械の強みをアピール。同時に、台湾の工作機械産業は歴史的に日本との関係が深いことから、技術提携など両者の一層の協力にも高い関心を示している。
発表会ではまず、TAITRA東京事務所の呉俊澤所長が、「2015年に台湾から日本に輸出された工作機械よび関連部品は2億ドル近い。前年比で17%伸び、引き続き成長が見込まれる。日本から台湾への輸出も4億ドルある。工作機械をめぐる両者の密接な関係をさらに発展させ、ウィン・ウィンな関係を築きたい」と協力強化に期待を寄せた。
台湾工具機協会の楊徳華栄誉理事長(程泰集団董事長)は、「台湾の工作機械産業は生産額で世界7位、輸出額で5位ながら、1500社の関連産業が存在し、その密度は世界一。多くは中小企業であり、柔軟な対応やターンキーのようなきめ細かい顧客対応が持ち味になっている」と特色を説明。続いて主要3社がそれぞれの技術や製品を紹介した。
さらに、TAITRAでは、2017年3月7日から台北で開催される工作機械見本市「台北国際工具機展(TIMTOS2017)」の状況を説明。1015社だった2015年の前回展を上回る1045社の出展が見込まれ、過去最大規模になる見通であることから、日本からの積極的な来場を呼びかけた。
程泰集団、新工場で量産機の生産能力倍増
程泰集団の林増崎海外営業部長によれば、グループ企業は4社あり、旋盤やフライス盤複合機の程泰(グッドウェイ)と、5軸マシニングセンター(MC)および門型MCなどの亞崴機電(アウェア)が上場企業。アウェアの製品は自動車のほか、航空機分野でボーイングとエアバス、さらに米テスラモーターズのイーロン・マスクCEO率いる「スペースX向けでも実績がある」という。今年に入り、台湾での新工場建設に着手。2017年から2018年にかけて完成・稼働の予定。自社用の部品加工、量産機種の生産を増強し、現在の月産100台から同200台と生産能力を倍増させる。一方で「グループ会社を増やしていく方針」といい、企業買収を含め、規模拡大を狙う。グッドウェイはすでに日本に代理店があるが、アウェアでも代理店を募集中という。
高速の門型5軸加工機で航空機部品狙う東台
東台精機はもともと日本人が創業者。千葉県柏市に日本法人の東台精機ジャパンを持つ。顧客の要望にきめ細かく対応しながら、自動車部品関連でのターンキーシステムで豊富な実績がある。立型・横型MC、旋盤のほか、列車の車輪などを加工するオナー・ブランドの大型立型旋盤や、エイペックの門型5軸加工機といった大型機も取り揃える。巌瑞雄董事長は、「日本国内で日本の工作機械メーカーと戦うのは難しい。とくに海外進出の日本企業に対してエンジニアリング力を駆使したターンキーで優先的に営業したい」とする。エイペックの5軸加工機は高速性が特徴の一つで、送り機構にドイツ製のリニアモーターを採用し、主軸回転数も毎分2万4000回転と高速。「日系のマレーシア工場で7時間かかっていた航空機用アルミ部品の加工が5時間でできた」という。日本国内でも航空機関係で納入実績が1台あり、近く2、3台目が決まりそうだ。
高聖精密、遠隔地からスマホで稼働状況確認
高聖精密は鋼材の切断加工機や帯鋸盤が主力。呉迎帆CEOは、米国の鉄鋼ユニオンによる2015年のサービスランキングで第1位の評価を受けたことを強調し、「米国向けは売り上げ全体の35%を占め、年率10−15%で伸びている。米国に進出して27年経つが、技術やサービスをスピーディーに提供していることが評価された」と胸を張る。さらに、日系企業のデザイナーによる「ニートな(かっこいい)デザイン」(呉氏)の帯鋸盤や、スマートフォンアプリで機械の稼働状況やツールの状態を遠隔地からモニターできるスマート機能もほかにはない特徴だという。ただ、個別に製品を提供している顧客は日本に存在するものの、対日進出が遅れていることから、「当社にふさわしい販売代理店を見つけたい」としている。
(2016/11/18 05:00)