[ 化学・金属・繊維 ]

16年超モノづくり部品大賞/超モノづくり部品大賞−ノリタケカンパニーリミテド

(2016/12/1 05:00)

  • セラミックスセルを手にする高橋グループリーダー

《カーボンフリー燃料の直接供給型燃料電池用部品「セラミックスセル」および「封止ガラス」》

【心臓部品を担当】

アンモニアを燃料に使い、二酸化炭素(CO2)が発生しない燃料電池を開発する。政府の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」で、京都大学を中心に産学連携で進めるプロジェクトだ。ノリタケカンパニーリミテドは心臓部のセラミックス部品を担当した。

一般的な燃料電池では、燃料の水素を都市ガスから製造する過程で、CO2が発生する。一方、アンモニアは全ての工程でCO2が発生しない。

ただ、アンモニアを燃料にすると、心臓部の部品であるセラミックスセル、封止ガラスが腐食・劣化してしまう。ノリタケはその解決に挑んだ。

京大からノリタケに研究の依頼が来たのは2013年。高橋洋祐開発・技術本部研究開発センター機能材料グループリーダーは、「難しいが、夢があると思った」と振り返る。

腐食・劣化を防ぐには、セラミックスの成分構成を変える必要がある。大型放射光施設「スプリング8」を活用して成分構造を解析し、どの成分を取り除くか決めた。

【祖業の蓄積】

ここで生きたのが、ノリタケの祖業、洋食器事業での蓄積だ。洋食器の表面の色を変えるには、成分の構成を変える必要がある。同じ成分構成でも、配合の順番によって色が変わることもある。

これまで幾多の洋食器を手がけた知見を活用し、スプリング8による成分解析実験を効率的に実施。14年の研究開始から1年半ほどと、短期間で完成させた。高橋グループリーダーは「不安もあったが、いざ動き出すと駆け抜けていった」と開発期間を表現する。

15年7月には、アンモニアを燃料とした固体酸化型燃料電池(SOFC)で、200ワットクラスと世界最大規模の発電に成功。現在は実用化に向けた準備段階にある。

【20年にデモ運転】

ノリタケが開発したのは、セラミックスセルと金属板が封止ガラスで接合され、積層した部品であるスタックまで。発電ユニットなど燃料電池全体は手がけない。燃料電池メーカーに開発したスタックを提供し、発電の長時間化と効率化を目指している。

高橋グループリーダーは「20年の東京五輪・パラリンピック開催時期にデモ運転を実施したい」と意気込む。1キロワットクラスの発電が目標だ。

(名古屋・戸村智幸)

(2016/12/1 05:00)

関連リンク

素材・ヘルスケア・環境のニュース一覧

おすすめコンテンツ

「現場のプロ」×「DXリーダー」を育てる 決定版 学び直しのカイゼン全書

「現場のプロ」×「DXリーダー」を育てる 決定版 学び直しのカイゼン全書

2025年度版 技術士第二次試験「建設部門」<必須科目>論文対策キーワード

2025年度版 技術士第二次試験「建設部門」<必須科目>論文対策キーワード

技術士第二次試験「総合技術監理部門」択一式問題150選&論文試験対策 第3版

技術士第二次試験「総合技術監理部門」択一式問題150選&論文試験対策 第3版

GD&T(幾何公差設計法)活用術

GD&T(幾何公差設計法)活用術

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

Journagram→ Journagramとは

ご存知ですか?記事のご利用について

カレンダーから探す

閲覧ランキング
  • 今日
  • 今週

ソーシャルメディア

電子版からのお知らせ

日刊工業新聞社トピックス

セミナースケジュール

イベントスケジュール

もっと見る

PR

おすすめの本・雑誌・DVD

ニュースイッチ

企業リリース Powered by PR TIMES

大規模自然災害時の臨時ID発行はこちら

日刊工業新聞社関連サイト・サービス

マイクリップ機能は会員限定サービスです。

有料購読会員は最大300件の記事を保存することができます。

ログイン