[ オピニオン ]
(2016/12/2 05:00)
「結束」は郵便事業の用語のひとつ。郵便局で働く人にとっては身近な言葉だ。鉄道輸送時代には、列車とともに走る郵便車内で結束作業をした。現代でも、トラック集荷までに局舎で郵便物を区分することを結束と呼ぶ。
11月27日に宮城県で行われた全日本実業団対抗女子駅伝で、創部3年目の日本郵政グループが初優勝した。リオデジャネイロ五輪に出場した鈴木亜由子、関根花観両選手を擁するものの、予選会の成績は8位。
故障明けで2区に回った鈴木選手は「昨年の12位を上回ることが目標」とレース前に話していた。有森裕子氏や高橋尚子氏ら五輪メダリストを指導した高橋昌彦監督も「(優勝を)準備してなかった。まぐれ」と笑うほどの快挙だった。
手紙を届ける郵便事業は、もともとタスキをつなぐ駅伝と親和性が高い。しかし大正9年に定められた大日本体育協会の競技規則では、郵便配達人などは「準職業競技者」とされ、参加資格がなかった。陸上競技会で優勝しても「走りのプロだから」という理由で成績を取り消された。
日本郵政の選手は普段、郵便局で働く。郵政女子が先輩たちの無念を晴らしたのは、民営化後のチームプレーの“結束”の勝利と言えるかもしれない。
(2016/12/2 05:00)