[ オピニオン ]
(2016/12/26 05:00)
運転免許センターには開場前から更新の行列ができていた。収入印紙の購入、視力検査、顔写真の撮影と、職員が手際よく作業を進める。最後に教室に案内されて「優良講習」の開始を待つ。
5年前にも同じ場所で講習を受けたはずだが、何も記憶に残っていない。教室を埋める60人前後の老若男女に、わずか30分間で何を話すのか。集中して聞いてみようと思った。
免許制度が新しくなり、運転できる車格が変わることと、75歳以上の高齢者の更新手続きが変わることが主な内容。衝突実験の動画を使い、後部座席でもシートベルトをきちんとしないと危険だというメッセージで締めた。当然ながらしゃくし定規だった。
世間では自動運転が脚光を浴びている。ボストン・コンサルティングの予測によれば、2035年には世界の新車販売の4分の1が部分自動運転車か完全自動運転車になるという。完全自動運転が現実のものになれば、免許そのものが必要なくなるかもしれない。
そもそも取り締まりに意識が傾きがちな警察当局は、そんな近未来をどう考えるのか。あるいは「自動運転車の免許」が新しくできて、その交付を受けるために将来もずっと、このセンターに来ることになるのかも…
(2016/12/26 05:00)