[ オピニオン ]
(2017/3/13 05:00)
欧州とのパートナーシップによって、わが国航空機産業の新たな飛躍を期待したい。
経済産業省とフランス航空総局が覚書を結び「日エアバス民間航空機産業協力ワークショップ」を立ち上げた。政府支援の下、材料や航空システム、製造技術などの分野で欧エアバスと日本企業の連携を橋渡しする。
戦後、わが国の航空機産業は米軍機の修理で再開し、防衛航空機のライセンス生産で産業基盤を構築。米ボーイングとの国際共同開発などで民間機事業を広げ、国産小型ジェット旅客機「MRJ」など完成機へと発展させてきた。いずれも米国とのつながりが深い。
全日本空輸(ANA)、日本航空(JAL)の保有機材もボーイングからの調達を軸としてきたが、近年はエアバスの存在感が高まっており、変化の兆しがみてとれる。
年率約5%で増加する旅客需要を背景に、世界の民間航空機市場は今後20年間で約5兆ドル規模へと倍増する見通しだ。日本勢もボーイング向けを中心に約1兆8000億円規模へと順調に成長してきたが、生産額は米国の約11分の1にすぎない。
日本企業とエアバスとの取引規模は年間約10億ユーロ(約1200億円)程度にとどまっており、伸びしろは大きい。エアバス側も「日本企業は品質、納期順守に優れているのが特徴。取引をさらに拡大したい」(エアバス・ジャパンのステファン・ジヌー社長)と期待する。
ただサプライヤーが米欧の2大航空機メーカーの仕事を両立させるには、新たな生産ラインを含めた長期安定供給のための新規投資が必要となる。
その点、日仏政府は次世代航空機に焦点を当て、通信やロボット、電動化などの革新的技術を持つ他業界からの参入を促す新しいアプローチをとった。これまで縁のなかったリコーなどが関心を示しているという。
品質保証をはじめ、航空機部品に求められる国際的な認証取得のハードルは高い。官民一体となり、日欧双方の航空機産業振興につながる橋頭堡(ほ)を築いてもらいたい。
(2017/3/13 05:00)
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