[ オピニオン ]
(2017/7/24 05:00)
人工知能(AI)が人を選別する時代が到来した。新卒採用選考で使われるエントリーシートの評価をAIに委ねる企業が増えている。機械が人を選ぶというと複雑な気持ちになるが、AIの可能性を直視すべきだ。
エントリーシートは、志望動機や自己PRなど記述式回答から面接に呼ぶ学生を選ぶための応募書類。最近は1人で30社以上に応募する学生も多く、人事担当者は短期間に大量の書類を読み込む作業に追われる。
ソフトバンクはこの作業の一部をIBM「ワトソン」に委ねた。合格基準を満たす評価を提示した項目は選考通過とし、それ以外の項目は人事担当者が確認して合否を判断する。
統一した評価軸で公平に選考できるほか、人事担当者が読み込む作業を75%削減し、空いた時間を面談に割けるという。
三菱総合研究所とマイナビ(東京都千代田区)は、AIを活用したシート評価サービスを始めた。過去の選考結果と選考方針をAIに学習させ、AIがシートを読み込んで、企業ごとに採用したい学生を選び出す。
昨年度に30社強が試験導入し、15社が本年度も正式導入するなど満足度は高いという。例えばAI選考枠と人による選考枠を分けてグループ討論した結果、明らかにレベルの差があった。1次、2次と面接が進み、最終面接通過者はAI枠が人枠の2倍に上ったという。
今の新卒市場は学生に有利な“超売り手市場”だ。「優秀な学生を一刻も早く囲い込みたい企業に受け入れられている」と三菱総研の担当者は話す。
今秋には内定を辞退する可能性の高い学生を予測する新サービスを開始。学生の「やりたいことやスキル」と企業側の「求める人材要件」をつなぎ、学生にお勧めの企業をAIが提示するサービスも始める。
AIはあくまでもツールであり、最終的には人が判断すべきだ。ただ今後、研修や異動、昇進といった人事全般にAI活用が広がる可能性は高い。ホワイトカラーの生産性向上や働き方改革を進める上でも、AIの活用は待ったなしである。
(2017/7/24 05:00)
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