[ オピニオン ]
(2017/9/8 05:00)
国土交通省はリニア中央新幹線が東京、名古屋、大阪の三大都市圏を約1時間で結ぶ効果を最大化する検討に乗り出す。リニアがもたらす変革を、全国に広げる施策につなげてもらいたい。
22日に「スーパー・メガリージョン構想検討会」を設置する。JR東海が建設中のリニア中央新幹線は、2027年に東京―名古屋間が開業し、大阪までの延伸は最大8年前倒しの37年が想定される。開業がビジネス・ライフスタイルにどのような影響を与えるのか、効果を引き出すための取り組みは何か、などを有識者で話し合う。
スーパー・メガリージョン(巨大地域)は、三大都市圏の一体化による世界最大規模の経済圏の誕生を意味する言葉だ。国内総生産(GDP)は首都圏が195兆円、関西圏が70兆円、中部圏が66兆円。合計すればフランスの281兆円を超え、ドイツの374兆円に迫る。
国交省は三大都市圏内だけでなく、地方圏との移動も大幅に短縮されることで、各地域の産業の交流・融合が容易になることを期待する。情報通信技術(ICT)化が進むほど、フェース・ツー・フェースによる信頼関係の醸成が重要であり、それによりイノベーションを日本全域で創出することを狙う。
さらに都市と地方が融合した新しいライフスタイルの創出も考えられる。自然豊かな地方に住みながら都市で働いたり、都市に住みながら農業を営むことが可能になったりするかもしれない。
一方で、負の側面も見過ごせない。従来も新幹線の開業に伴い日帰りが可能となり、支店や営業所が撤退するなど、地元経済にマイナスに働くケースもあった。三大都市圏にヒト・モノ・カネが集中し、地方が衰退する「ストロー効果」が発生する懸念もある。
検討会では、こうしたプラスとマイナスの両面を踏まえ、経済効果を引き出す国土形成の方向性を示してほしい。少なくとも三大都市圏だけが栄え、地方が衰退する事態を引き起こしてはならない。
(2017/9/8 05:00)
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