- トップ
- 化学・金属・繊維ニュース
- 記事詳細
[ 化学・金属・繊維 ]
(2017/10/13 21:00)
新たな不正、取締役会でも以前から認識
神戸製鋼所は13日、データ改ざん問題に関し、鋼線や特殊鋼など新たに9製品で改ざんや検査の未実施といった不正があったと発表した。製品の出荷先はこれまでに不正が判明した製品分も含め、計500社程度に拡大する。これまで否定していた主力の鉄鋼製品でもデータ改ざんなどが行われていたことで、取引先の不信感が一段と強まるのは必至だ。
川崎博也会長兼社長は東京都内で記者会見し、一連の問題について「不適切行為で多大なご迷惑をかけ、おわびする」と謝罪した。新たな不正は「取締役会でも報告され、(以前から)認識していた」としたが、隠蔽(いんぺい)の意図は否定。経営責任に関しては「安全性の検証や、原因と対策に全力を注ぐ」と述べるにとどめた。
新たに判明した9製品は、中国の関係会社で製造した鋼線や、国内グループ会社で製造した特殊鋼、ステンレス鋼線などに加え、タイ、マレーシアの銅管など。出荷数量は計1万1000トン超に達する。川崎社長は「安全性に疑いが生じれば迅速に対応する」と話し、顧客から点検費用などの支払いを求められた場合は「その腹積もりはある」と応じる姿勢も示した。業績への影響は現時点では未定としている。
神鋼は8日にアルミ・銅製品でのデータ改ざんを発表。出荷先は約200社としていた。その後、鉄粉や子会社の光ディスク材料でも不正があったことを公表した。影響を受ける取引先は、国内外の自動車メーカーや航空機、鉄道、防衛関連など広範囲に及んでいる。(時事)
新たに判明した神戸製鋼所の不正(カッコ内は製造拠点)
・銅合金管とモールド(神鋼メタルプロダクツ)
・銅管(コベルコ&マテリアルズ・コパー・チューブ・マレーシア)
・銅管(コベルコ&マテリアルズ・コパー・チューブ・タイランド)
・アルミニウム合金線・合金棒(神鋼アルミ線材)
・銅板条(蘇州神鋼電子材料有限公司=中国江蘇省)
・鋼線(江陰法爾勝杉田弾簧製線有限公司=中国江蘇省)
・鋼線(神鋼新确弾簧鋼線(佛山)有限公司=中国広東省)
・特殊鋼(日本高周波鋼業)
・ステンレス鋼線(神鋼鋼線ステンレス)
株価、1週間で4割超下落
13日の東京株式市場で神戸製鋼所の株価が大幅に下落した。新たに主力の鉄鋼製品でも性能データ改ざんが判明したことが要因とみられ、終値は前日比77円安の805円となった。データ改ざん発表前の前週末株価からは563円下落し、下げ幅は4割超に及んだ。
神鋼株は取引時間中には一時、88円安の794円まで下がり、2016年6月28日以来、約1年4カ月ぶりの安値を付ける場面もあった。(時事)
福島第2の予備配管も 寸法測らず数値記載
東京電力は13日、神戸製鋼所の子会社「神鋼メタルプロダクツ」(北九州市)から福島第2原発に納入された予備の配管の検査書類に、実際には測っていない寸法が記載されていたと発表した。東電と神戸製鋼所によると、配管は東電が定めた仕様に適合しており、性能に問題はないという。
原子力規制委員会は神鋼製品の使用状況について、各電力会社から確認を進めている。
東電によると、昨年9月から今年8月末に提出された書類で、配管の片側の直径と厚みしか測っていないのに、両端を測定したように数値が記載されていた。東電の仕様は片側の数値だけを求めていた。
配管は直径19ミリ、長さ約6メートルでアルミと銅の合金製。福島第2原発3号機で、原子炉停止後も核燃料を冷やし続ける装置の交換用に計200本が納入されたが、倉庫に保管中で使っていないという。(時事)
(2017/10/13 21:00)