[ オピニオン ]
(2017/11/22 05:00)
大企業の不祥事が相次いで発覚し、日本製品の信頼が揺らいでいる。コンプライアンスの重要性が改めて指摘されるが「西欧流の個人主義によるチェックを叫んでもダメ」と、ある弁護士。
日本人は子どもの頃からウソをつくな、弱い者いじめをするな、独り占めするなと教わって育つ。それを生かせばいい。「悪いことは一人ではできない。少人数の集団で不祥事を露見しやすくすべきだ」という意見である。
モノづくりに関わる企業が、何かを忘れてしまったかのようだ。経営者は帳簿ばかり気にかけて現場を見ようとしない。かつて経団連会長を務めた土光敏夫さんは生産ラインを歩き、落ちているクギを見つけては拾った。
「最近の購買部門の連中は工場に来ない。とにかくコストダウンしろ、納期を守ればかりだ」―。下請け企業の経営者からそんな嘆きを聞いたのはもう20年も昔の話。問題の根は深い。
土光さんの時代の日本企業は今ほどグローバル化しておらず、家族的なつながりが社内にあった。規模拡大や総合化より、技術革新を生かして事業の細分化やスピンアウトを進め、中小規模の企業が活躍できる産業社会をつくれば、不祥事を減らせるのではないか。そんなことを夢想した。
(2017/11/22 05:00)