[ オピニオン ]
(2017/11/30 05:00)
那覇市の回転ずし店で、握りをつまんでいると、中国系と思しき観光客が入ってきた。席に着くとすぐにメニューを見て店員と一言二言。するとぞろぞろ店を出る。店員いわく「ラーメンがないと分かると帰ってしまう」そうだ。
最近は大手チェーン店を中心に、ラーメンやカレー、うどん、スイーツなどを出す店が多い。だがここは独立系の普通の店。すし屋としては十分だが、その客は“すし屋のラーメン”が食べたかったようである。
別の日にバーで酒をちびちびなめていると、なんだか客の会計が長引いている。ただし、もめている感じではない。後でバーテンダーに聞くと「中国人の観光客から、京都のジンを売ってくれないかと頼まれた」という。
国産ジンが人気とは知っていた。だが沖縄のバーに買いに来るとは驚いた。「沖縄=泡盛」とは日本人の感覚でしかない。彼らにすれば京都も沖縄も日本である。容易に買えると考えても不思議ではない。訪日外国人旅行客が増える中、観光や物販、飲食といったさまざまな業界が、彼らの心をつかむヒントを求めている。意図せずに異文化交流に接すると、やはりニーズは現場に落ちていると感じる。よし、今日も飲みに行かなくては…。
(2017/11/30 05:00)