[ オピニオン ]
(2017/12/27 05:00)
京都・祇園の裏路地で、和服を着た数十人の団体旅行客に遭遇した。重そうなスーツケースを引っ張っている。貸衣装を借りて観光を楽しむ中国人客だ。
以前から外国人観光客が多い京都だが、最近はどこに行っても目立つ。京都市観光協会によると、市内の主要ホテルに泊まった外国人割合は10月が46・6%。前年同月比で10カ月連続上昇し、3年前に比べて12・2ポイントも増えた。
市内のホテル新設計画は2017年から18年の開業予定まで15件以上ある。それでも宿泊施設が不足し、京町家など一般住宅を改装した“民泊施設”が急増する。京都では旅館業法に基づく許可を受ける必要があり、毎月50―80件が新規に許可される。
日刊工業新聞京都総局近くのワンルームマンションも入り口に「ホテル」の看板が設置され、改装工事中だ。一方で無許可施設も多数あり、騒音やゴミのポイ捨てといった課題が顕在化する。タクシーの運転手は「一般住宅なので場所が分かりづらい」とぼやく。
民泊は日本の文化を知る上で良い体験となろう。増加する空き家の活用策としても期待される。市は民泊を規制する条例案を提示しており、違法施設の摘発・指導を強めて、健全な民泊施設を増やしたい。
(2017/12/27 05:00)