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[ 科学技術・大学 ]
(2018/2/11 08:00)
米南部フロリダ州ケープカナベラルのケネディ宇宙センターから打ち上げられた米民間宇宙企業スペースXの大型ロケット「ファルコンヘビー」(AFP=時事)
積載能力2倍、ブースター再使用
【ワシントン時事】米民間宇宙企業スペースXが新たに開発した大型ロケット「ファルコンヘビー」の打ち上げに成功したことで、米国の宇宙探査競争の最前線復帰に期待が高まっている。トランプ政権が目指す有人の月面探査再開や、将来の有人火星探査に向け、ファルコンヘビーの積載能力と経済性が強力な武器となりそうだ。
スペースXによると、ファルコンヘビーは、これまで積載能力最大とされてきたロケットの2倍以上の重量の積載物を打ち上げることが可能。同社のイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は6日の打ち上げ後、記者団に「冥王星やその先まで、物を打ち上げることができる」と胸を張った。
ファルコンヘビーのもう一つの「売り」が経済性だ。既に運用されている「ファルコン9」と同様、切り離した1段目を軟着陸させ再利用できる。使い捨て型のロケットと比べ、1回当たりの打ち上げコストをはるかに低く抑えられるという。
米政府の姿勢も追い風だ。トランプ大統領は昨年12月、航空宇宙局(NASA)に有人月面探査再開を目指すよう指示。「われわれは(宇宙探査の)先導者だったし、これからも先導者であり続ける」と宣言し、将来の有人火星探査も視野に入れる考えを表明した。
米国はスペースシャトルの退役後、宇宙への物資輸送で主役の座をロシアに譲った。中国も有人宇宙飛行に乗り出している。トランプ氏の言葉には、再び宇宙探査のトップに立ちたいという意欲がにじむが、最大のネックとみられる財政面の問題をクリアする上で、ロケット再利用などを通じたコスト削減は避けられない課題だ。
(2018/2/11 08:00)