[ オピニオン ]
(2018/2/12 05:00)
人口減少時代に質の高い労働力を維持するためには、「適温経済」の今こそ適切な対策を打つべきである。
今年は世界的な金融危機に見舞われたリーマン・ショックから10年を迎える。幸いにして足元は世界経済が順調に拡大する一方で、先進国を中心にインフレ率は低位安定が続いている。
景気拡大にもかかわらず、高インフレにならない状況を「ゴルディロックス(適温)経済」と呼ぶそうだ。英国の童話で、主人公のゴルディロックスという少女が、熱すぎず冷たすぎないちょうどよい温度のスープを飲んだことにちなむ。
企業の景況感は良好だ。昨年12月の日銀短観で大企業製造業の業況判断指数(DI)はプラス25となり、5四半期連続で改善。中堅・中小製造業もプラスで、特に中小製造業は前回比5ポイントも改善した。これを受け、各業界で人手不足が深刻化している。
対策として、女性や高齢者の労働参加率をさらに高めることが必要だ。女性の労働参加を高めるには、何よりも待機児童問題の早期解消が不可欠である。同時に男性の育児参加を増やすための長時間労働の圧縮も重要となる。
人口の多い団塊ジュニア世代が高齢化していく中、年功序列的な人事・組織や賃金体系の見直しも課題になる。
一方でパートタイム労働者の勤務時間が年々、短期化していることも課題だ。パートタイムの主婦が長時間働くことを妨げてしまう配偶者控除や第3号被保険者制度などを見直すことが必要だろう。
また60歳以降も働いていると年金の一部または全部を支給停止する在職老齢年金制度などの制度も見直し、高齢者になっても長く働けるインセンティブを付与することが重要だ。
日本総合研究所の牧田健調査部長によると、現状のままなら2020年―30年代に労働人口は年平均で0・6―0・8%減少するという。女性と高齢者の労働参加率が上昇すれば「減少を0・1―0・3%まで圧縮することは可能だ」と話す。官民ともに対策を考えたい。
(2018/2/12 05:00)
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