[ オピニオン ]
(2018/3/1 05:00)
確実に来る“超高齢化社会”を乗り切るには国民各層の知恵が必要だ。関西の産学官が連携した取り組みに、ひとつのきっかけを見いだしたい。
「関西健康・医療創生会議」(井村裕夫議長=京都大学名誉教授)は、2015年7月に発足した。メンバーには関西経済連合会など経済5団体をはじめ、8府県4政令指定都市からなる関西広域連合と15大学3研究機関が名を連ねる。
それ以来、関西らしさを生かした新たな医療産業の創造と、安心して健康に生活できる持続可能なまちづくりを目指して活動してきた。具体的には五つのテーマごとに分科会を運営し、セミナーやニューズレターを通じて成果を発信している。
高齢化の進展で、医療費は大幅増の危機にさらされている。同会議の井村議長は現状の社会保障制度について「35年には団塊世代が85歳を超え、介護費用が急激に増大する問題に直面する。早急に対策を打つべきだ」と訴える。
例えば最近の同会議の議論では、NPO法人日本医療ネットワーク協会(東京都品川区)が推進する「千年カルテプロジェクト」をとりあげている。千年カルテは患者の検査や治療の重複を減らして医療費を抑え、病気の予防につなげることが目的。関西の医療機関の参加は2015年度5件、16年度10件と倍増し、17年度は21件を見込む。同会議としても前向きに評価している。
一方、大手製薬メーカー社長は「カルテには医師の主観が入る。客観的に数値化しなければ比較が困難」と注文をつける。また集めた臨床データを加工・分析し、改善を提案するデータサイエンティストが不足していると分析。同会議としても18年度から関西産業界と連携し、データサイエンティストの育成事業に乗り出すことを決めた。
ヘルスケア関連事業の拡大には課題も多いが、地域の産学官が積極的に問題点を話し合い、それを乗り越えようとするという意欲は貴重だ。同様な取り組みが、他の地域に広がることを期待したい。
(2018/3/1 05:00)
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