[ 政治・経済 ]
(2018/3/9 07:30)
【サンティアゴ時事】日本やオーストラリアなど環太平洋連携協定(TPP)に参加する11カ国はチリの首都サンティアゴで8日午後(日本時間9日未明)、米国を除く新協定「TPP11」の文書に署名した。これにより昨年11月に大筋合意した自由貿易を推進する協定内容が確定した。日本政府は、今国会に協定承認案と関連法案を提出する方針で、2019年の発効を目指す。
署名式後の記者会見で茂木敏充経済再生担当相は「発効に向け、日本が率先して機運を高めたい」と述べ、引き続き主導的な役割を果たす意向を示した。新協定は、参加国の過半数が国内手続きを完了してから60日後に発効する。各国が国内での議会承認などの手続きをどのように進めるかが今後の焦点となる。
新協定は、農産物や工業製品を市場開放する「関税」分野、通関手続きの簡素化や企業活動を促進する「貿易・投資ルール」分野で、米国を含む12カ国で合意した元の協定の内容を原則維持した。ただ、医薬品のデータ保護など22項目は米国復帰まで凍結する。また、新たな国・地域が加入する場合には協定発効後とする。
一方、離脱した米国は、トランプ大統領が「米国第一」主義を掲げて鉄鋼輸入制限を打ち出すなど保護主義的な姿勢を強めている。チリのムニョス外相は会見で「(世界では)保護主義の圧力がかかっているが、誰も貿易戦争は望んでいない」と述べ、米国の動きをけん制した。
(2018/3/9 07:30)