[ 金融・商況 ]
(2018/6/14 13:00)
広く取引される仮想通貨の一つであるテザーが、ビットコイン相場の重要な局面でビットコイン購入に利用され、昨年12月の急騰に一役買っていたとテキサス大学のジョン・グリフィン教授が分析した。グリフィン教授はVIX指数の不審な動きを指摘したことで知られる。
同教授がアミン・シャムス氏と共著した論文が13日に発表された。これによると同教授は、「テザーはビットコイン相場の安定と操縦の両方の目的に利用されたと考えられる」とみている。
グリフィン教授がインタビューで語ったところによると、テザーはまず親会社テザーによって2億などの大規模な単位で発行され、このほぼ全額がビットフィネックスなど仮想通貨交換業者に移管される。この発行の直後にビットコイン相場が下落した場合、ビットフィネックスや他の交換業者がテザーを使い、「相場押し上げのため協調的に」ビットコインを購入するのだという。
同教授は「たくさんの市場を見てきた」とした上で、「市場の不正や操縦があれば、データに形跡が残る。データを追跡すると、操縦があったとの仮説にかなり整合する」と説明した。
教授は論文で、2017年3月から18年3月までの1年間にいくつかのパターンが見られたと指摘。テザーを使ったビットコイン購入は対称的でなく、ビットコイン相場が下落した時にテザーでの購入額が増加する傾向にあるが、ビットコイン相場の上昇時にテザーの動向が反転する傾向は見られなかったという。
ビットフィネックスのバンデルベルデ最高経営責任者(CEO)は電子メールで、「ビットフィネックスもテザーも、いかなる市場・相場操縦に携わったことはない」と言明。「テザーの発行がビットコインや、ビットフィネックスで取引される他の仮想通貨の価格押し上げに利用されることはあり得ない」と反論した。
テザーはドルでの裏付けをうたっており、変動性の高いビットコインに対して安定した投資先であることを売り物にしている。テザーとビットフィネックスはCEOを含め同じチームが経営しており、両社の間で事業の協力や分離がどのようになっているのか、ほとんど知られていない。グリフィン教授は調査の結果、ビットフィネックスに移管されたテザーが元のテザー社側に戻されることは「ほとんどなかった」とも指摘している。(ブルームバーグ)
(2018/6/14 13:00)