[ 機械 ]
(2018/10/30 11:00)
11月1日から6日までの6日間、東京・有明の東京ビッグサイトでJIMTOF(第29回日本国際工作機械見本市)が開かれる。主催は日本工作機械工業会(日工会)と東京ビッグサイト。工作機械や関連する周辺機器が一堂に展示される。工作機械関連の各メーカーは、隔年で開催されるJIMTOFに合わせて最新技術や新製品を開発し、市場に投入している。今年はIoT(モノのインターネット)の活用、ロボットや工程統合型の機械による自動化などの提案が話題になりそうだ。
JIMTOFに先立ち、米国シカゴで9月10―15日にIMTS(国際製造技術展)2018が開かれた。IMTSでは、日系工作機械大手が工程集約を売りにした新機種を出展していた。積層造形(AM)機能搭載の機種を増やした企業もあった。生産自動化の流れが加速している。
日系大手が居並ぶフロアの入り口に出展したヤマザキマザック。目玉機種が、ギア加工機能を搭載した複合加工機だ。スカイビング、ホブ、エンドミルと3種類のギア加工が可能だ。機種の前には人だかりができており、ブースの中でも、見学者が多かった。
中西正純常務執行役員営業本部本部長は「歯切り盤は高価で納期が長い。小ロットのユーザーにはこちらが向いている」と新製品の意義を説く。従来は複合加工機のオプションとして提供していたのを、製品化した。専用機で行っている加工を汎用機で、という工程集約の流れを体現する機種だ。
同社の隣にブースを構えたオークマは、自社開発のレーザーユニットを搭載し、焼き入れとAM両方が可能な門型マシニングセンター(MC)を初出展した。家城淳副社長は「AMが可能な門型MCは業界初だろう」と胸を張る。
ユニットにより自由な位置に焼き入れとAMができる。焼き入れによるワーク(加工対象物)の表面処理、AMによる肉盛り補修と製品のライフサイクル全般に活用できる。
米国での需要を意識した現地仕様機種を出展した企業も。ブラザー工業は米国のジョブショップ(中小加工業者)を意識して開発した新型MCを初出展した。産業機器事業を所管する星真執行役員は「他社に比べて欧米は弱いが、優れた機種を投入して売り上げを伸ばす」と力を込めた。
新型MCは自動交換する工具の収納本数を従来機種より8割多い40本にした。ジョブショップはさまざまな加工を手がけるため、工具交換の手間を減らせる利点は大きい。
IMTSでは、日系大手の経営陣から「米国の製造業回帰に期待している」(家城オークマ副社長)など、米国での工作機械需要拡大を見込む声が出ていた。それを取り込もうという明快な意図が、各社の出展からは感じ取れた。
(2018/10/30 11:00)