[ オピニオン ]
(2018/11/19 05:00)
2019年10月に予定される消費税率10%への引き上げと同時に、飲食料品など一部を消費税率8%に据え置く軽減税率制度が導入される。ただ導入まで1年を切ったにもかかわらず、中小・小規模事業者を中心に、同制度の理解や準備が十分に進んでいない。予定通りに同制度が実施されれば、混乱が生じる恐れがある。政府は事業者に近い業界団体、地域金融機関、地方自治体などの協力を得ながら、事業者が安心して導入時期を迎えられるよう働きかけを強めるべきだ。
消費税率が10%と8%の複数が併存するため、事業者は取り扱う製品に適用される税率の把握をはじめ、税率ごとに区分けした経理への対応などが求められる。税率が分からない場合には、仕入れ先に確認するなど、これまでなかった手間や時間などの負担を強いられる。
適用される税率を正確に把握するのはやや難しい。同じ飲食料品でも、店内で購入して飲食する場合は10%、店外に持ち出す場合は8%、さらに店外でも店先のベンチで食べる場合には10%など。飲食・小売り事業者らは、複数の消費税率に対応するレジも必要になる。
影響は飲食・小売りなどの業界にとどまらない。軽減税率の対象となる飲食料品などを扱わない事業者でも、贈答用の食品をはじめ、会議や接客時の茶菓子の購入は税率8%になるなど、すべての事業者に関係がある。適切な対応には社員への教育も欠かせない。
政府は安倍晋三首相が消費増税について、予定通り実施すると明言したものの、事業者には、消費税率の引き上げに懐疑的な見方があるほか、軽減税率制度の導入に向け、何をどう準備するのか分からないといった戸惑いの声も少なくない。
政府によると、10月末時点で6割超の飲食料品関係事業者が具体的な準備に着手していない。中小団体などに属していない小規模事業者らを含めると、数はさらに増える。政府は官民のネットワークを総動員して同制度を周知徹底し円滑な導入に万全を期すことが求められる。
(2018/11/19 05:00)
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