[ オピニオン ]
(2019/1/9 05:00)
米国や中国をはじめ、多国間の通商関係をうまくコントロールしていく知恵が必要だ。
堅調な日本経済に比べて、外的要因は非常に不安定だ。政治の動きが経済に大きな影響を与える状況が続いている。2019年は外交・通商における日本の実力が試されるだろう。
最も注目されるのは、日米間の新たな物品貿易協定だ。18年9月の首脳会談で合意し、近く協議が始まる。日本の貿易黒字に対し、米側が強い姿勢で譲歩を迫ることが予想される。
安全保障を米国に頼っている日本は、2国間の経済交渉を苦手としてきた。そこで意味を持つのが、一度は合意した環太平洋連携協定(TPP)である。この交渉を土台にしつつ米国に理解を求めれば「かつての日米構造協議のような難題は避けられる」(財界首脳)という見方が強い。
日米関係以上に産業界が懸念しているのは、米中間の貿易摩擦激化である。すでに「中国経済の減速で市場が縮小している」(大手電機首脳)などの声が聞こえている。中国は対米関係の緊張を強いられる中で日本に期待している。日中関係の好転を、経済の結びつきの深化につなげたい。
一方、昨年末はTPPから米国を除いた11カ国で合意した『CPTTP』が発効。今年2月には日欧間の経済連携協定(EPA)が発効する。
交渉の困難な多国間の経済協定を相次いで実現したことは、外交・通商上の大きな成果である。政府並びに関係者の努力に敬意を表する。
むろん貿易の規模では米中という2大相手国には及ばない。しかし、産業界としては新協定をもとに新たな市場を開拓することで、不安定な経済環境を補う方法を見つけたい。
残念なのは隣国である韓国との関係悪化だ。特に第2次大戦中に徴用されたという労働者への不当な賠償判決が確定し、複数の日本企業が資産の差し押さえに直面している事態は許しがたい。政府は引き続き、企業の被害を防ぐべく最善を尽くしてほしい。
(2019/1/9 05:00)
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