[ ICT ]
(2019/5/11 05:00)
【シンガポール=時事】シンガポール議会で8日、インターネット上に流れた偽ニュースを取り締まる法案が可決され、成立した。ただ、偽ニュースの判断基準は不明瞭。政府による言論統制につながる恐れもあり、内外から反対する声が上がっている。
新法では「虚偽で国益に反する」情報と閣僚が判断した場合、書き込んだ個人や掲載したメディアは削除を命じられる。個人には最大で禁錮10年が科される可能性がある。
地元メディアによると、シャンムガム法相は議会で、偽ニュースが拡散すれば政府への信頼が揺らぎ、民主主義の根幹が脅かされると対策の意義を強調。野党は「独裁政権のようだ」と反対したが、与党・人民行動党(PAP)が圧倒的多数の議席を握るため、法案は難なく成立した。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルの関係者は、シンガポール政府は批判的な意見を取り締まってきた前歴があるだけに、「(新法は)言論統制が狙いだと国民は受け止めるだろう」と指摘した。IT業界や学術関係者もネット上の自由な言論が制限されると危機感を強めている。
「技術革新妨げる」 グーグル、シンガポール政府に警告
【シンガポール=時事】インターネット検索最大手の米グーグルは9日、シンガポールで可決、成立した偽ニュース防止法について、シンガポール国内の技術革新を妨げる恐れがあると警告した。ロイター通信が伝えた。新法をめぐっては、政府による言論統制につながるリスクがあるとして、人権団体や報道関係者、IT企業などが反対している。
金融や交通のハブであるシンガポールは、デジタル分野のハブの座も狙い、IT企業の誘致を進めてきた。グーグルはロイター通信の取材に対して、「新法がデジタル分野の技術革新と成長を損なわせるのではないかと危惧している」との認識を示した。
(2019/5/11 05:00)