[ オピニオン ]
(2019/6/14 05:00)
「地方創生」が掲げられて久しい。2014年、国策としての地方創生政策が始まり、その時にそれぞれの自治体が地方版総合戦略を策定するようにと法律(まち・ひと・しごと創生法)で定められた。
同法の第10条は「自治体が地域事情に応じて自発的に策定するのではなく、国や県の計画に沿うようにつくりなさい」といった趣旨の内容になっている。
鳥取県知事を経験し、地方自治に精通した片山善博早稲田大学公共経営大学院教授は「東京からの号令。(地方創生が)これでうまくいくはずはない」と批判する。「地方版総合戦略はすべて金太郎飴で、現場を知らない大都市圏のコンサルティング会社が計画を立てている」と実情を明かす。
自治体自体の考える力が落ちてきているとも言える。例えば、18年、夏休み前の猛暑が続いて、小中学校のクーラーの設置が求められた際、多くの自治体が国に予算を求めた。例えば、他の予算をやりくりして、クーラー設置費用を捻出することもできたのではないか。
地方再生の条件として、片山教授は「自治力と免疫力」を挙げる。地域本位に考え、実践していく力だ。自治体とそれを担う住民が主導的な役割を担っていくしか道は開けない。
(2019/6/14 05:00)