[ 政治・経済 ]
(2019/7/11 09:00)
【ワシントン=時事】トランプ米政権は10日、フランスが独自に導入するIT大手を対象にした「デジタルサービス税」の調査を始めたと発表した。課税撤回を求めてフランスをけん制するのが狙い。グーグルやフェイスブックなどの米国企業にとって不公正と判断すれば、関税を含む制裁措置を検討する。
調査は、貿易相手国の不公正な慣行に対して大統領の判断で制裁措置を発動できる「米通商法301条」に基づく。米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は声明で「米企業を不当に狙い撃ちしている」と懸念を表明。フランス議会上院で11日にも法案が可決されるデジタル課税の撤回を求めた。調査は最長1年間。
「GAFA」と呼ばれるグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コムの米IT大手をめぐっては、各国で得た利益に適正な課税ができないとして、主要20カ国・地域(G20)や経済協力開発機構(OECD)が来年中の国際ルール取りまとめを目指して議論を進めている。米国は多国間の枠組みに協力しているが、フランスの対応は「一方的」と反発。英国やスペインなどもデジタル課税を導入する方針を示しており、トランプ政権は関税をちらつかせて導入拡大に歯止めをかけたい考えだ。
米国は昨年、通商法301条に基づき、知的財産権侵害を理由として中国製品に追加関税を課した。欧州連合(EU)の航空機補助金をめぐっても同法を使って調査するなど、貿易相手国から譲歩を引き出すために多用している。
(2019/7/11 09:00)