[ オピニオン ]
(2019/7/23 05:00)
回復基調を続けてきた日本経済は、ここにきて変調の兆しが出てきた。その一つの要因として、「アベノミクス」の第3の矢である成長戦略がなかなか軌道に乗らないことが挙げられる。
公共投資から、成長戦略を担う民間投資へうまくバトンがつながれていない。では今後の日本企業の成長には、何が欠かせないのだろうか。
KPMGコンサルティング(東京都千代田区)がまとめた「グローバルCEO調査2019」によると、今後3年間のM&A(合併・買収)への意欲は、約3分の2の日本企業が「組織全体への影響度が適度」なのに対し、米国企業のほぼ半数が「組織全体への影響度が高い」を望む。日米企業間で温度差がある。
また、企業経営のレジリエンス(機動性・柔軟性)では、失敗から学ぶ社風を作るという「理想」は日本企業もグローバル企業も80%台前半でほぼ横並び。ただ、社内に理想とする企業文化が醸成されている「現実」は、日本企業の半数に対し、グローバル企業は70%で、差が開く。
失敗を許容する文化の醸成の遅れは、安全運転を志向する日本企業の経営姿勢を浮き彫りにした。リスクを許容しながら、成長の種を育てていく「しなやかな」経営が求められている。
(2019/7/23 05:00)