[ オピニオン ]
(2019/7/25 05:00)
ムシ暑い日が続いたためか、身体がバテ気味。もうすぐ27日の土用の丑(うし)の日だ。ウナギの蒲焼きを食べて元気を付けたいところ。ただ、価格表を見てしまうと、こちらの懐の方がバテそうだ。
現在、流通しているウナギのほとんどが養殖モノ。養殖されているのに価格が文字通り“うなぎ上り”なのは、養殖に必要な天然のシラスウナギが高騰しているため。漁獲が減り、絶滅危惧種に指定されるほど。このままでいけばウナギの蒲焼きが絶滅してしまう。
親ウナギから採卵し、シラスウナギからの完全養殖が実現すれば、天然資源の市況に左右されなくなる。水産庁がこの取り組みを進めており、2002年に人工シラスウナギを初めて生産し、10年には完全養殖を実現。16年には年数千尾の生産を可能にした。
それでも依然として蒲焼きは安くならない。シラスウナギの育成にはコストがかかり、現状でも天然モノに比べ価格は約10倍もする。さらに天然モノを代替するには年1億尾くらいの生産量が必要だ。
コストを下げるための量産技術の開発にも取り組んでいるというが、天然モノ並みになるのはまだ先の話らしい。懐に優しいウナギの実現がスルリと逃げていかないように願うばかりだ。
(2019/7/25 05:00)