[ オピニオン ]
(2019/8/7 05:00)
鋳物工場が多く立地する埼玉県南の川口市が、この夏、ひときわ熱い。8日告示、25日投開票する埼玉県知事選。現職の上田清司知事が不出馬を決め、複数の新顔の立候補が報じられる。参議院選が終わったばかりだが、ポスターを待つ市内の掲示板の白さがまぶしい。
有力と目される立候補予定者をめぐり、日頃は蜜月関係にある県政最大会派と川口市の産業界が分裂状態に陥った。党側が推す候補に対し、川口商工会議所の主要メンバーらは地元出身者にこだわる。
「我がまちから知事を」と、いち早く出馬要請した地元産業界。川口は伝統的な鋳物産地だけに歴代市長も鋳物会社出身者が少なくない。今回の立候補予定者のひとりは祖父が市長を長く務め、川口での保守の支持基盤をつくったとされる。
対する党の県連は「埼玉県出身であくまで党が推せる人」を選んだ。支持者から「悩ましい選択」との声が聞こえる中、他陣営からも有力候補が出馬の見込み。激戦は必至の情勢だ。
川口の動向だけが知事選を左右するわけではないが、県を代表する工業都市の影響力は小さくない。10月には“埼玉秋の陣”とも呼ばれる参院補選も控える。低投票率を脱するよう、盛り上がりを期待したい。
(2019/8/7 05:00)