[ オピニオン ]
(2019/8/22 05:00)
米中摩擦の中国側の切り札として、レアアース(希土類)の輸出規制が取りざたされている。電気自動車の部材などに必須で、世界生産の約7割を中国が握る。
世界需要の数百年分を超えるレアアースが日本の最東端の南鳥島海域に眠っている可能性があるという。海洋資源の把握は安全保障の観点からも重要だ。
国家プロジェクトとして「革新的深海資源調査技術」が展開中。深海の調査能力を飛躍的に発展させるとともに、2022年度までに水深6000メートルからレアアース泥を回収する技術の確立を目指す。
プログラムディレクターで石油資源開発顧問の石井正一さんは「この技術開発には中堅・中小企業の先端技術が欠かせない」という。調査に投入している無人探査機「江戸っ子1号」は心臓部にあたる耐圧ガラス球を岡本硝子が製造。おもり切り離し装置をパール技研(千葉県船橋市)が、真空成形によるプラスチックカバーをバキュームモールド工業(東京都墨田区)が製造した。
10年の日本とのもめ事で、中国がレアアースを武器にしたことは記憶に新しい。世界第6位の広さの領海・排他的経済水域(EEZ)を持つ日本。その海洋資源開発を支える中堅・中小の先端技術を応援したい。
(2019/8/22 05:00)