[ オピニオン ]
(2019/9/3 05:00)
第45回「技能五輪国際大会」がロシア西部の都市カザンで閉幕した。日本選手団の成績は金メダル2個で7位に終わった。1960−70年代にはメダルを独占、「メード・イン・ジャパン」を世界に広めた。モノづくり関係者の奮起を望みたい。
圧倒的な強さを見せたのが「世界の工場」中国。2011年の英国・ロンドン大会に初出場し、前回のアブダビ大会で15個の金メダルを獲得。今回も16個の金で大会2連覇を果たした。
中国は、多額の資金を投入して技能競技国家研究センターを設置するなど国家の威信をかけて国際大会に臨んでいる。今回も全56職種にエントリーした。「CNC旋盤」や「CNCフライス盤」、「電子機器組み立て」など、かつて日本がお家芸としていたモノづくり職種でメダルを量産した。
中国躍進のモデルは韓国だ。韓国はカザン大会では金メダル7個にとどまったが、優勝19回を誇り、13年大会まで5大会連続で金メダル数トップを保持した。政府が技能五輪国際大会のメダリストに数百万円の賞金と勲褒章を授与。事実上の兵役免除や大企業への就職斡旋(あっせん)を行い、退職するまで奨励金を支給する。民間企業が選手を育成し、手弁当で競技に参加する日本では考えられない仕組みだ。
次回21年大会は中国・上海で開催される。習近平国家主席はカザン大会の閉会式にビデオメッセージを送ったが、初の自国開催でメダル独占を狙っているのは間違いないだろう。
今回の開催国、ロシアの躍進にも驚く。金メダル獲得数は前回の倍以上の14個と中国に次ぐ。開会式にはメドベージェフ首相が、閉会式にはプーチン大統領が出席。技能五輪を重要視していることを世界に示した。
23年大会の開催地に立候補していた愛知県はフランス・リヨンに敗れたが、再度の立候補を表明。厚生労働省は20年度予算概算要求に選手強化のパッケージを盛り込んだ。政府が成長戦略として生産性向上や人材育成を掲げるならば、スポーツの五輪と同様、国家プロジェクトとして取り組むべきだろう。
(2019/9/3 05:00)
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